梅毒
目次
梅毒とは
梅毒は梅毒トレポネーマの感染で性行為または類似の行為により感染する性感染症の代表的な疾患です。
梅毒トレポネーマ情報元:国立感染症研究所
皮膚や粘膜の傷からトレポネーマが侵入することによって感染を起こし、やがて血流に乗って、さまざまな症状を引き起こす慢性感染症です。2013年ごろから梅毒届出数が男女ともに増加しており現在も前年を上回るペースで増加しております。
2022年には急激に増えており,社会問題になってきました。
茨城県の梅毒患者の推移
梅毒の経過
感染→潜伏期間(10-90日)→第1期梅毒→第2期梅毒→第3期梅毒
第1期梅毒
感染~1ヶ月
感染部位:性的接触部位(唇,咽頭粘膜,肛門周辺,陰部周辺)
症状: びらん 潰瘍(※ヘルペスと区別がつかない)リンパ節腫脹 初期硬結 硬性下疳
第2期梅毒
感染~3ヶ月
感染部位:皮膚
症状:バラ疹 丘疹性梅毒疹 扁平コンジローマ
感染部位:臓器病変
症状:リンパ節腫脹 胃潰瘍 肝炎 糸球体腎炎
第3期梅毒
ゴム腫(1-46年) 心血管梅毒(20-30年)
※第1第2梅毒の25-60%→神経梅毒に移行します。
神経梅毒
(早期)神経梅毒
- 無症候性
- 症候性(5%)髄膜炎 脳神経炎 眼症状 髄膜血管梅毒
(後期)神経梅毒
- 進行麻痺
- 脊髄ろう
梅毒の診断
梅毒抗体(RPR,TPHA) 血液検査
活動性梅毒の診断
活動性梅毒かどうかを見分けるには簡単な場合と難しい場合があります。
症状有り+RPR(+)+TPHA(+)○
症状有り+RPR(+)+TPHA(-)△
※TPHAが早期だとあがらない場合があります。
推移を見ながら治療します。
症状有り+RPR(-)+TPHA(+)※初感染な場合は○
過去にかかったことがあればTPHA(+)の事が多いので×
RPRで判断するか両者の抗体推移をみます。
判断が難しいケース
症状無し+ RPR(+)+TPHA(+)
3ヶ月以内に感染の機会があったかで判断
3ヶ月以内に感染の機会がない場合
1ヵ月後にRPR,TPHA再検し上昇があれば活動性の判断で治療します。
症状有り RPR(―)+TPHA(―)
感染機会があり,可能性高いと判断したら治療開始します。
また1ヵ月後にRPR,TPHAを再検し,上昇があれば治療します。
※よく,抗体のことでご質問が多いので複雑なところもお話しておりますが,基本的にはこちらで全て判断いたしますので,ご心配ありません。
基本的にこうだから梅毒だという定義はなく,抗体の値も患者様それぞれなので,抗体の推移や,問診が重要になってくることはいうまでもありません。
治療
第一選択
アモキシシリン(500)3T3X 4週投与いたします。
第二選択
ミノサイクリン(100)2T2X 4週投与いたします。
第三選択
スピラマイシン 6T6X 4週投与いたします。
治療効果判定
RPR,TPHAを1ヵ月毎の同時測定します。
RPRの値が活動性を示します。
RPR(+)梅毒
RPRが治療前の1/2に低下,症状の消失を目安にします。
RPR(-)早期梅毒
症状改善+TPHAの減少を目安にします。
基本的には1年間は潜伏感染や,再発のリスク(20%)もあるため定期通院が必要です。
RPR,TPHA低下がない場合
薬の変更を検討します。
活動性梅毒の場合はHIVを合併していることも多く,HIV抗原,抗体同時測定します。
接触者の検診も3ヶ月間ほど必要です。
梅毒はウイルスではないので基本的にはしっかりとした治療をすれば完治しますが,放置したり,間違った治療をすると取り返しのつかないことになることもあるので専門の治療を必要とします。不安な方はぜひお立ち寄りください。