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前立腺がん

目次

前立腺とは

前立腺は男性のみにあり骨盤の一番深い場所にあるります。

前は恥骨、後ろは直腸、上は膀胱で囲まれています。

前立腺癌~日本人男性の第一位~

前立腺がんで悩む男性は極めて多く、社会問題の一つにもなり,2023年現在,第一となっております。

診断

PSA検査

現在、多くの方が検診や人間ドックあるいは泌尿器科の外来で検査されております。
その後、MRI,針生検を受けて前立腺癌の診断をします。
※前立腺肥大や,前立腺炎の方でもPSA上昇することがあり,今ではfree-PSA, PSA densityのような検査を追加することもあります。

Free-PSA:

フリーPSAは、総PSAに対する遊離PSAの割合として測定されます。

遊離PSA割合に基づいて前立腺癌

遊離PSAの割合

前立腺がんの確率

0%-10

56%

10%-15%

28%

15%-20%

20%

20%-25%

16%

25%以上

8%

PSA density:

PSA-densityとは、前立腺単位容積当たりのPSA値濃度を意味します。

例えば、前立腺の大きさが15ccでPSA値が4ng/mLであった場合、PSA-densityは、4÷15=0.26ng/mL/cm3になります。
前立腺の大きさが100ccでPSA値が10ng/mLであった場合、PSA-densityは、10÷100=0.1ng/mL/cm3になります。
PSA density が高ければ高いほどがんのリスクは高くなり,この場合,PSA 4の前者が後者よりリスクとなります。

直腸診

前立腺が硬く触れるとがんが疑われ前立腺生検を受ける必要があります。

MRI

PSA4以上の方や,直腸診で硬結を触れた方はMRI検査を行います。
T2画像で低信号,拡散強調画像で拡散低下の所見があれば前立腺生検を行います。

前立腺生検で前立腺がんと診断されると次に骨シンチグラフィーで骨転移の有無、CTでリンパ節転移の有無を検査します。
骨転移、リンパ節転移がない早期がんの方は表に示したリスク群を参考にします。
PSA、直腸診,生検の悪性度(グリソンスコア)の3つの組み合わせで決定します。

治療

  1. 手術(開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット手術)
  2. 放射線外照射
  3. 小線源療法
  4. ホルモン治療
  5. 経過観察

1 手術

現在,手術方法はロボット手術,腹腔鏡,開腹手術がありますが,現在の主流はロボット手術です。入院期間は7-10日間です。
術後どうしても尿失禁や,男性機能(勃起障害)を失うため,適応には十分な判断が必要です。
当院の院長も,都内で100例/年,ロボット手術を施行しており,経験豊富なため,術後の合併症でお悩みの方はご来院ください。

2 放射線外照射(VMAT)

前立腺癌の放射線治療で一番オーソドックスな治療です。
照射期間は1ヶ月程度と長いですが,合併症は比較的少なくてすみます。
ただし,前立腺周囲の臓器(膀胱,直腸,尿道)にも多少照射されるため,頻尿,消化器症状,膀胱炎症状などの症状が出現する場合もあり,定期的な採血,尿検査が必要です。

3 小線源療法

放射線治療の一部で,合併症が比較的少ないとされてます。
入院期間も4-5日と短く,短期で治療をしたい方にお勧めです。
合併症は尿道狭窄,血尿などがあります。
当院院長も毎週水曜日茨城医療センターで小線源療法をサポートしております。

4 ホルモン治療

  • 放射線治療前,治療後
  • 術後再発,放射線後再発
  • 比較的ご高齢の方で手術,放射線治療の適応のない方
  • 前立腺癌で転移のある方

が対象になります。

前立腺癌は男性ホルモンに依存しているといわれており,ホルモン治療(男性ホルモンを押さえる)で前立腺癌の縮小が期待できますが,やめてしまうと再度大きくなったり,耐性ができて効かなくなったりすることがあります。

5 抗がん剤(ドセタキセル,カバジタキセル)

  • 前立腺癌の転移がある方
  • ホルモン療法が効かなくなった方

に適応があります。

副作用で骨髄抑制(白血球↓,赤血球↓,血小板↓)があり,入院での治療が必要です。

6 遺伝子治療(リムパーザ)

ホルモン治療が効かなくなった前立腺癌でBRCA(遺伝子)変異等がある場合(特定の遺伝子検査が必要)、治療効果が期待されています。

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