血精液症
目次
血精液症(Hematospermia)とは~どうしよう,不安との戦い~
血精液症(Hematospermia)とは射精液に肉眼的に血が混じっていることをいいます。
前立腺及び精嚢からの出血と考えられており,時間の経過とともに色調が変化します。
色は,うすピンクからトマトジュース様の新鮮血,茶褐色さまざまです。
泌尿器科を訪れる5000人に1人とされております。
原因
70%以上が原因不明です。
原因不明の血精液症の持続時間は
1か月57.7%
3ヶ月34.3%
6ヶ月23.3%
1年 12.5%
2年 7.6%
であり月日とともに,改善していきます。
再発率は13.5%といわれています。
外傷
- 性行為後
- 自慰行為後
- パイプカット後
- 前立腺治療後(小線源治療)
- 前立腺生検後
- 膀胱鏡後
感染症
40歳未満によく見られます。
- 急性前立腺炎
- 精巣上体炎
- 尿道炎
解剖異常
前立腺,尿道周囲の血管異常(血管腫,動静脈ろう,動静脈奇形,のう胞など)
悪性腫瘍
50歳以上に見られます。
- 前立腺癌
- 精巣腫瘍
- 陰茎癌(まれに膀胱がん)
血液凝固異常
- 肝硬変
- 血友病(Von Will Brand)
血液凝固異常が原因のことがあります。
お薬
- 抗凝固剤
- HIV薬
のように血がさらさらの薬をのんでいると症状が出ることがあります。
高血圧
高血圧により出血が助長されることもあります。
検査
尿検査
前立腺炎などの感染がないか,血尿はないか評価します。
精液検査
た精液を採取し血がまじっていないか評価します。
超音波検査(経直腸下)
おしりから超音波を入れて,前立腺,精嚢を評価します。
超音波(腹部,陰嚢)
膀胱,前立腺,陰嚢,精巣を評価します。
CT,MRI
精巣,精管,精嚢,前立腺の出血を評価します。
膀胱鏡検査
尿道,射精管に異常がないか評価します。
採血(PSA,凝固機能検査)
前立腺癌の有無,凝固異常がないか調べます。
治療
自然消退がほとんどです。
抗生剤
炎症がうたがわれれば,経験的にニューキノロン系,性感染症が疑われれば,アジスロマイシン,ドキシサイクリンをカバーします。
フィナステリド
前立腺を縮小させることで,出血を最小限に食い止めます。(保険適応外)
精液に血が混じると,不安で頭がいっぱいになると思います。
しっかり検査をし,悪いものがなければほっといて治ることがほとんどですから,当院に気軽にご相談ください。